ウサの耳に

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映画『ちょっと思い出しただけ』

観る前に異様に警戒していた『ちょっと思い出しただけ』を観た。帰り道、誰のことも思い出さずにショートケーキを2つ買って帰った。誕生日でもないけど、旦那さんと一緒に食べる。今は『ナイト・オン・ザ・プラネット』を観ている。

 

もうここ何年か、20代後半から30代前半の性交渉を前提とした異性同士の恋愛模様(もれなくヒリヒリする)中心の物語を観るのがかなりしんどい。特に、別れが来たり、過去を思い出すようなやつ。題字が手描き文字だと無条件で目を背けてしまうくらいの苦手意識があって、今回もあまり気が進まなかったのだけれど、いくつかの要素が重なって観てみることに。

 

物語の構成やジム・ジャームッシュへのリスペクトとオマージュ、役者たちの使い方が絶妙で、警戒していたようなえぐられ方、苦手な感情はそこまで感じなくてまずはほっとした。(よく考えれば松井大吾監督でジム・ジャームッシュ愛の映画なんだからそこまで警戒しなくてもよかったかな)ちょっとだけクサイな〜とか、イチャイチャがちょっとしんどい...とか、水族館とか屋上のシーン、30歳こんなはしゃぎ方するかな...とか、そわそわしたシーンはいくつかあったもののこれは好みの問題かな。ぐちゃぐちゃの感情や、未練たらしいヒリヒリ男女模様を見せられるのが苦手なので、タイトル通り「ちょっと思い出しただけ」なのがよかった。

 

永瀬さんがジャームッシュでよかった。とまり木がわたしにとっても心の拠り所で、國村隼さん演じるマスターがめっちゃ好きだった〜。

 

そして最後に言わせてね、何がいちばんよかったかってもう大穴で屋敷さんよ。地獄みたいなコンパを抜けて出会った軽薄な男...「芸能人と結婚して〜」ってもう、お前、屋敷じゃん!最高だよ...屋敷役なの?屋敷の役なの?屋敷がいたからなんか、ちょっとハラハラしながらも、ほっとして観ることができたよ。ありがとう屋敷。

 

ようちゃんと屋敷は次の日、仲良くケーキを食べたんだと思います。
あの6年のこと、ちょっと思い出しただけだから。